建設工事に必須の施工計画書について、実際の作成ポイントをご紹介

施工計画書とは一体どのようなものなのか、また実際の作成方法やポイントなどもご紹介いたします。施工計画書の作成でお困りの方はぜひご参照ください。

施工計画書は建設工事を進める上で非常に重要です。工事に関わる人すべてが施工計画書を目にし、施工計画書通りに工事を進めていくからです。工事自体の質にも大きく影響すると言えます。さらに施工計画書の内容によって大きなトラブルを発生させてしまったり、リスク回避できなかったりと責任も重大なのです。

作成担当者はまずは正しい知識をつけないといけません。また作成の作業自体も非常に多くの項目をこなさないといけないため、効率性も重要です。そんな施工計画書を効率よく作成できるよう、押さえておきたいポイントなどについてご紹介いたします。

1.施工計画書とは

施工計画書

施工計画書は建設工事を進めるにあたり、工程やスケジュール、使用する機材・資材などに加え、安全管理や品質管理など全てにおいて必要な情報を記載したものです。建設工事に関わるすべての工程がそれらを基準に進めていくため、着工する前に作成しておく必要があります。また建設業法などで作成が義務づけられているため、建設工事では必須です。

2.施工計画書は誰が作成するの?

施工計画書

施工計画書は、工事を依頼された側である施工会社(元請け)の主任技術者や監理技術者が作成し、工事を依頼した側である発注者に提出します。法律的にも主任技術者や監理技術者の義務であると定められています。

専門工事は施工会社(元請け)が色んな専門業者(下請け)へと発注する場合があります。そのため、その下請け業者が施工計画書を作成する場合や、現場の担当者などが作成する場合もありますが、その際は必ず主任技術者・監理技術者が内容を確認しなければいけません。それぞれの工程の施工計画書を下請け業者が作成したとしても、トータルで考えないといけないため、そのままつなぎ合わせて使用するということはできません。結果的に施工計画書を作成できるのは、施工会社(元請け)ということなのです。

また、施工計画書とは別に、施工要領書というものがあります。それぞれ名前が似ているため混同しやすいです。施工計画書は、どのように施工を進めたいかを記載したのに対し、施工要領書は実際どのように施工を進めていくかといった内容を下請け業者が記載したものです。

3.作成するタイミングや作成期間

施工計画書

工事の日程が決まり次第、早めに作成を開始しましょう。施工計画書の提出時期は工事の着手前と定められています。具体的な日にちはないですが、共通仕様書などで着手の30日前と定められている自治体もあります。また発注者との契約内容によっては日にちの指定があるかもしれません。特段日にちの指定がなくとも、提出は工事の3週間前を目安にしている施工会社が多いようです。提出後に修正の必要が出てきたり、発注者から承認を得る期間も確保した方がよいからです。また作成自体も3週間~1ヶ月ほどかかる想定で取り掛かりましょう。

4.施工計画書の作成の前にやること

施工計画書

・工事の全体像を掴む

施工計画書を正確に効率よく作るためには、全体の流れを把握する必要があります。全体の流れを把握できていないと思わぬ事故やトラブルなどの原因となり、スムーズに工事を進めることはできません。第一段階として、工事に関する契約書、設計書、図面などの書類を細かくチェックし内容を精査していきます。

・現場状況のチェック

施工計画書は、現場の周辺状況を考慮して内容を調整する必要があります。そのため、現場の状況を細かく把握できていない場合は、実際に足を運んで状況をチェックしなければなりません。さらに、現場のチェックだけではなく、実際の工事を想定し懸念点なども挙げていきます。例えば、夜間の作業が必要になる、周辺道路を交通規制しないといけない、近隣の住宅への騒音・振動の配慮など多岐に渡ります。ケースバイケースのため、建設現場ごとに必要項目が変わるといっても過言ではありません。

・発注者と協議し、事前に懸念点を解決する

全体像の把握、現場のチェック、そして基本事項も重ねて検討したのち、それらをふまえて発注者との協議を行います。疑問点や懸念点を発注者と共有し、認識のずれがないように協議しましょう。放っておくと後に大きなトラブルに発展しかねません。

・ひな形を入手する

初めて施工計画書を作成される方は、記載する項目は分かったとしても、具体的な書き方までは不明な点が多いのではないでしょうか。基本項目が記載されたフォーマットなどを使用する方が抜け漏れを防げます。また、自治体などによっては決まったフォーマットで作成しないといけない場合もあります。まずは、提出先に指定のフォーマットがあるか確認しましょう。提出先の指定フォーマットや社内で使用しているフォーマットなどがなければ、各自治体のホームページなどからひな形を入手してから作成を始めましょう。可能な限り同じ種類の工事の書類のひな形を入手することをおすすめします。ただし、工事の内容次第で必要な内容が異なってしまいます。記載内容に不足がないかの確認が必要です。

5.施工計画書の作成ポイント

施工計画書

施工計画書の作成にあたり、これまで色んな事前準備を進めてきました。
ここからは施工計画書を作成する際のポイントをご紹介いたします。

・抜け漏れ、不備がないか念には念を

必要な項目について記載し、添付書類なども併せて準備していきます。また懸念点や疑問点など十分に協議した内容こそ、全員の共通認識につなげるため、重点的に記載していきます

・分かりやすさを意識する

施工計画書は、発注者や下請け業者など、多くの方が見るものです。ただ単に提出する書類と考えるのではなく、みんなに明確に伝わるかを意識しましょう。たとえば、箇条書きをフロー図にしてみる、重量な箇所は目立つように文字を大きくするなど、理解しやすいよう工夫することも重要です。

・便利なツールやソフトを活用する

施工計画書の社内フォーマットや自治体などのひな形の使用をご紹介しましたが、専用のソフトウェアなどもあります。有料のものだと便利な機能が備わっているので、効率的に作成できます。

6.計画通りに進められるのか?もう一度よく考えましょう

施工計画書

施工計画書は、ただ作成すればよいものというものではありません。施工計画書の内容によって工事そのものが左右されます。実際の想定している内容よりもはるかに理想が高いものになってしまうと実現できない上に、現場の作業員にも負担をかけてしまいます。実現可能かつ発注者の要望に沿える内容が含まれたものを作成することが重要です。
そして、現実的な施工計画書をもとに工事が進められ無事に完了となれば、今後も継続的な受注につながっていくことでしょう。そういう意味でも施工計画書は工事が終わった後にも大きく影響してきます。

まとめ

施工計画書

今回は、施工計画書の作成方法や作成ポイントについてご紹介いたしました。やみくもに作成を進めてしまうと、作業効率が悪いだけでなく、工事の質などにも悪影響を及ぼします。忙しくていつも後回しにしてしまっている、記載内容が整理できない、作成に時間がかかり過ぎてしまって嫌になる、という方こそぜひ今回の内容を参考に取り組んでいきましょう。